スペインの大学・大学院ではtutoríaという言葉をよく耳にします。
日本語では「チューター」とか「個別指導」というのでしょうか。
これが結構大事で、履修科目の決定やその後の成績に関わってくるものです。
Tutoríaが先生達の義務となっていることは、とても良いと思います!
私はあまりtutoríaの大切さや活用法を知らず、最初は失敗したなぁと思っています。
なので、私の記載がどなたかのお役に立てばいいなぁ、と思います🙏
私はバルセロナの2つの大学でで人文学と美術史の修士を修めました。
その2つは授業やtutoríaのシステムがかなり違いました。
つまり大学や修める専門によって異なってくると思います。
2つの大学院には主に4種類のtutoríaがあったので、それぞれ自分の経験を交えてお話します。
そして…tutoríaにまつわるものとして、強烈だった教授の想い出を絡めてみます😆
教授については、万が一「あ、あの教授?」と心当たりのある人がいたとしても、どうか胸の内におさめておいてくださいませ🙏
では、ちらっと読んでみてください。
Contents
履修科目を決定するためのtutoría
履修科目を決める流れは 全体セッション→tutoría
おそらくどの大学院も、コース概要を説明する全体セッションの後に、tutoríaを設けるところが多いと思います。
セッションの前までに、大学院のHP等で各教科のシラバス(Plan de estudio)をよく読んで、興味・関心に沿った希望履修科目、質問事項等を整理していかないと、tutoríaで唖然としてしまうことになります。
まあ、私は読んでいっても唖然としましたけど…😂
最初のセッションで、各科目の説明があるかどうかは大学院によるようです。
ここの部分は2つの大学院でシステムが大分違ったので、2つに分けています。
1−1人文学修士の例
全体セッションでの各科目の説明等はなく、修士論文の概要と博士過程の説明などがありました。
その後、各生徒に割り当てられた先生と日時調整をしてtutoríaし、相談の上で履修科目を決めるシステムでした。
つまり、各科目の説明は各教授に委ねられていました。
私の最初のtutoríaを担当した先生はかなり強烈でした😨
1. かなり待たされる。
最初のTutoríaの日、約束の10分前に教授室に着いたのですが...私の前の時間の生徒が2人、教授室の前でまだ待っていました。
待ってる間、座る椅子もないから立ちんぼで、いつ順番が来るか分からないから離れるわけにもいかずw
そして私の順番が回ってきた時には1時間半以上過ぎていました。
この先生がどういうtutoríaの時間調整をしていたのかは全く不明です😓
多少待つのは当然なんですが、その日以降のtutoríaでは(もちろん事前に教授と日時調整をします)いつも沢山の生徒が待っていて順番が回ってきませんでした...💦
さて、この一番最初のtutóríaは…私白目むいてたかも?
何故なら…
2. 超・超・早口😂
そう。「教授が超超超早口すぎてなんて言ってんだかさっぱり分からん😱!!!」かったのでございます(泣)
早口でまくしたてられ「(?_?)?」
そしてあまりの勢いに圧倒され…正直何の相談をしたんだかさっぱり覚えてませんw
いや相談というより、滝のように、いや爆弾のように喋る先生の顔をただポケ〜っと眺めてたのかも💦
そして…勢いに押された私は、その早口教授の授業を取ることになってしまいました😨
うーん。うーん。ほんとに後悔(爆)
3. 全体的なスケジュールバランスのアドバイスがなかった(T_T)
後でクラスメイトから聞いたのですが、最終学期は履修科目を少なくして修士論文に集中しろ、とアドバイスをする先生が殆どだったそうです。
ですが…早口教授は一言もそのことには触れませんでした。
結果的に最終学期もキツキツのスケジュールになってしまいました(泣)
私も誰か相談できる人がいれば良かったんですが、知り合いが1人もいないところに飛び込んでしまったので、私の情報不足の問題があったのは否めない…
4.さらなる失敗。
元々スペインは多言語国家、カタルーニャ地方の人は殆どの方がカタルーニャ語とスペイン語のバイリンガルです。
あまりにもリスニング困難な早口教授のスペイン語に、
「も、もしやこの先生、カタルーニャ語で喋ってるんか??」
と不安になった私は…
「カタルーニャ語が分からないので、心配です」
と言ってしまったのです😂
すると教授に
「じゃあカタルーニャ語の授業も別で受けなはれーーー!!」
と勧められまして…😨
結果生まれたハードスケジュール。
修士の授業が夜22時近くまであるのに、カタルーニャ語の授業は朝早い。
修士の課題の上に新しい語学…は私のキャパをはるかに超えてました…。
でも、このカタルーニャ語のクラスでは修士・博士・専門の違いなど越えた友人ができたことはとても良かったです。
これについては、また機会をみて書きますね。
ちなみに、教授の早口がどんなもんだったかというと、
爆弾のように喋るからいつも「暑い暑い🔥」って言ってて、10月なのにキンキンに冷房入れるほど☃
教室内はシベリアのよう...(行ったことないけど)
おかげ様で私超風邪引きました。
ある日、いつものように冷房が入った教室で
「◎▼☓■~ahja!$QTt(rtmqvq295uvbahfhg ★★!!」
と喋りまくった後に、ふぅ、と一息…
…と、突然身震いして
「…さぶっ(ブルブルッ)」と。
気づいてくださったのは11月中旬、バルセロナも既に初冬でした。。。
1−2 美術史の修士の例
美術史の修士では、違ったシステムで履修科目決定のサポートがあり、私にはこちらの方が分かりやすかったです。
全体セッション→個別のtutoríaという流れは同じですが、こちらでは、最初のセッションで全科目内容の説明が細かくありました。
また全体セッションも、個別のtutoríaも、修士コースのコーディネーターの教授が1人で受け持ちます。
つまり当たり外れなく(失礼)みんな同じ教授の説明を受けるわけです。
tutoríaでは、私が興味があった科目の一つについて、コーディネーターは
「スペイン語・カタルーニャ語が第一言語ではない生徒にはハード過ぎる。
先生めちゃめちゃ厳しくて要求が高いよ」
と正直にアドバイスしてくれました。
こういう現実的なアドバイスがすごく大事なんです!
何故ならスペインの大学院の科目は「一つも落第はできない」から。
修了必要単位以上に履修登録することはできず、落第するかもしれんから多めに履修しよ〜なんて❎なのです。
また、博士課程に進学したい人は、beca=奨学金の有無がとっても重要。
奨学金を取得するために一番重要なのは成績です。
修士の成績がその後の奨学金獲得を左右する=つまり1つ1つの科目の成績の影響が大きい。
なので、履修科目の選択はとても重要。
一番最初のこのtutoríaはその後を左右するとも言えるのです。
各科目におけるtutoría
さて、授業が実際始まってからも、tutoríaを依頼することができます。
これは、履修科目の課題についてや、授業内容の不明点などについて、教授と話をすることが出来るシステム。
人文学の方では、各先生とメールで日時調整をしてtutoríaで、しょっぱなのtutoríaで気後れしてしまった私はあまりtutoría依頼をしませんでした。
後から、もっと疑問をクリアーにして課題に臨めば良かったな、と後悔しました。
その反省があったので、美術史の方では課題に取り掛かる前にできるだけ不明点を無くそうと、1科目以外は全部tutoríaをお願いしました。
幸運だったのか、美術史の方ではtutoríaでとても明確に導いてくれる先生が多かったです。
美術史の方は各先生のtutoríaの時間が最初から決められていたのもあり、依頼もしやすかったのです。
また最低一回はtutoríaをして課題論文内容の報告を義務づける教授も多かったです。
・Tutoríaで雲が晴れる(?)授業もある
美術史修士のtutoríaの中でよく覚えているのが、授業の中で明確な説明をあえて避けていた教授。
生徒の理解努力を求めていたのか??とは思ったりもしますが、毎回疑問点が沢山残り、モヤモヤした雲の中にいるような気分で帰宅しないといけないんです。
さらに、その授業、論文の書き方についての必須科目の授業で超重要。
そこが闇の中って困る😅
ということで私は数回tutoríaを依頼をしました。
すると、tutoríaでの質問には、的確に教えてくださるじゃないですか〜👏!!
雲が晴れるように疑問解決👏
この先生も厳しい評価で有名だったんですが、思いの外、良い成績をもらいました。
何故授業の中では明確に説明しないんでしょ??それは謎です。
教授の指導方針なんでしょうが、tutoría 依頼しなかった人は、きっとモヤモヤのまま終わってしまった生徒も多いと思います。。。
各科目のrevisión (見直し)に関するtutoría
さて、このtutoríaは、成績が出た後の見直しに関するもので、希望する生徒が依頼するものです。
成績に納得がいかない場合、先生と話し合って課題の修正や再提出をすることで、成績が修正される場合も多々あります。
成績は、各学期毎(各科目ごと)に出ます。
何故なら1科目は1学期で終了だから~(正直バタバタです)。
成績は10段階、5までは何とかセーフ。それ以下が落第。
例えば5以下の落第点が出てたとします。
このtutoría で先生と話し合い、
・再度課題を書き直して提出する
・別の課題を出され、それを仕上げる
・代替策なし、つまり落第😨
など、そこは先生によって様々です。
・たかが1科目、されど1科目。
早口教授は超辛口採点で有名でした😨
同級生 (カタラン人)は学部の時に落第点を出され、ものすごいページ数のレポート(しかも全く別テーマ)の再提出で首の皮一枚で繋がったとか。
えーん早く知ってたら履修しなかった(泣)
私達の修士でも….いやぁ辛口も辛口の採点でした。
私、実はかなり努力しました。
あまりの早口にほんっと授業内容が分からなくて、毎回授業を録音してスロー3倍で聞き直し😅
もうノイローゼになるくらい、この教授の声を毎晩聞いてました。
寮の友達と集まって勉強会したり。
でも結果は5😨
学部で落第点をとった同級生からは、「落第じゃないからいいやん」と言われましたが…
私の心の声 → 「えっでも人生最低の点数やねんけど...(日本の大学は60/100以下が落第やしw😂)」
私はもう教授と話すエネルギーが無かったので、見直しの為のtutoríaはお願いしませんでした。
そして中国人の友達。
ストレートで博士に行った優秀な子でしたが、驚いたことに彼女も...5😨
彼女は果敢にrevisión のtutoríaに挑んでましたね~
でも成績変えてくれなかったみたい😨
その1科目の成績のおかげで、彼女は博士過程に向けて申請できる奨学金の選択肢が大分狭まりました。
私たちはアジア人なので言語の面で不利なのかな?とも思いましたが、そればかりではないみたいです。
スペイン語圏の超優秀な男友達は6.5でガッカリしてました。
そして別のメキシコ人の女の子はなんと落第しちゃった。
可哀想に、彼女はレポート再提出の提案がなかったのか、彼女が再提出を拒んだのか分かりませんが、翌年その分の単位を取り直すことになりました。
たかが1科目、されど1科目なのです。
〈ボイスレコーダーについて〉
さて、ここでちょっと寄り道。
私、日本から持っていったボイスレコーダー、在学の間かなり使いました。
私が持っていたのはこの図のSonyのもの。再生速度の調整可能。
PCや携帯で録音できるアプリもありますが、再生速度調整ができず、早口教授には太刀打ちできなかったのでレコーダーを使ってました。
授業内容の要約提出が課題だった別の科目でも活躍しました。
ただしMac非対応なので、私のMacPCに取り込むことはできませんでした。
内容を編集する必要はないので個人的には困らなかったけど、同級生から「録音したのをほしい」と頼まれてもファイルを送れないのは心苦しかったかな。(早口に困っていたのは私だけではないらしい...)
また、このレコーダーのように、割とお手頃価格で再生速度の変更可能なものもあります。
ちなみに早口じゃない先生の授業はPCのアプリで録音してました😉
参考までに...
修士論文指導教官とのtutoría
最後に修士論文に向けての担当指導教官とのtutoría。
論文計画や進捗状況の報告、全体の修正や訂正をお願いするものです。
私は美術史の修士論文を2020年の9月初旬に提出したんですが、2020年3月以降はコロさんのおかげで大学は閉鎖され、論文提出が6月から9月に変更となり、先生とはオンラインでtutoríaしました。
図書館の閉鎖・国際郵便の停止諸々で資料入手が困難の期間もあり、私の論文の進み具合がかなり遅かったので、結局バタバタしました。
(資料の面で困った学生は沢山いたみたい)
Tutoríaは、2月に論文計画、6月に進捗状況報告、その後7月末に全体を教授に送りtutoríaの予定だったんですが、7月は私の家族の事情でできず。
そして、なんとそのまま先生はバケーションに入っちゃったんですね~… OMG
先生も慣れないオンライン授業でほとほと疲れてたみたいでバケーションが必要だったみたいです。
「Nana、9月に入ってから話そう!」と😨
私はおお、マジですか、と青くなりましたが...
「だいじょぶだいじょぶ、今年はこういう何もかも不規則な状況なんだから、落第することはないからさぁ」
という、ラテーンな友人の根拠のない自信たっぷりの前向きなアドバイスを受け、まあどうしようもないことだしその言葉に乗っかることにして気を落ち着けました…😂
結局最終のtutoríaは、締切一週間前。
そこでかなりの修正・追加要求・アドバイスがありまして~
最後の1週間はほぼ寝ずに過ごしました★
おまけ・先輩とのtutoríaも大事
おまけの小話。先輩(経験者)の助言は大切、という話。
私の翌年に人文学の同じ修士に入学した中国の学生さん。
私の友人達のアドバイスにも関わらず、早口教授のクラスを取ってしまったそうです。
でもやっぱり1ヶ月でギブアップ。
無料で履修変更ができる期間だったので、修士の秘書に履修キャンセルの相談に行きました。
でもその秘書が手続き方法が分からなかったらしく...
なーんとその秘書ってば、たまたま秘書室に入ってきた早口教授に、
「教授、履修キャンセルのやり方分かりますぅ??」と聞いたらしく!!
教授も「あ、ああ、知ってる知ってるぅ」と...
自分の授業のキャンセル手続きを教授本人にさせちゃったらしい…😱
私がその中国の生徒さんだったらその場から逃げ出したいと思います…
もう、この教授にまつわる逸話は「イテテテテ...」なものばかり😂
教訓。授業内容や先生に関する情報を持ってる周囲に人がいたら、できる限り情報を集めましょう。
先輩のtutoríaはリアルな情報なので軽んじるべからず🙏
🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀
私も色々と痛い経験がありますが、こうやって記録に残すことで今後の学びになる、と前向きに考えることにしました★
ちなみに小さな街バルセロナですから、一度映画館の前で早口教授を見かけたことがあります。
私は…胃が痛くなるので気づかなかったふりしてみましたw😂 ←小心者
日本のtutoríaのシステムも知りたいな。ご存知の方、コメント大歓迎です。
ではまた! Hasta pronto〜👋
Nana
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