外国生活・近況

【3月8日は国際女性デー 】スペインにおけるフェミニズム (Feminism)あれこれ。国際女性デーのデモ、ジェンダーギャップ指数、男女平等の育児休暇制度など。

"国際女性デー"って、知ってますか?
3月8日は、1975年に国連によって定められた【国際女性デー】。

近年、世界中でフェミニズム運動(Feminism)は盛り上がりをみせています。
なかでもスペインはフェミニズムがとても強い国だと感じています。
スペインのフェミニズムについて、スペインに住んで感じることや、経験したことの一部を書いてみました。

8-M スペインの国際女性デー

2018年 530万人が参加したスペインのフェミニストデモ【国際女性デー】

2018年、国際女性デーに大規模な24時間ストが行われました。
男女格差と性差別に反対するゼネストはスペイン全土で行われ、「女性が止まれば世界は止まる」のスローガンが叫ばれました。

その日に先立ち、スペイン各地では男女格差・性差別に関する様々な討論会が開催されました。
その内容は家事分担や給与・年金格差、キャリアアップにおける見えない壁、性的暴力など様々。

新聞記者や学者、医療従事者やスポーツ選手など、専門家グループに先導され、2018年の参加者は大幅に増えました。
その参加者は、マドリードでは35万人、バルセロナでは20万人。
この2都市だけでなく、スペイン全土の120もの都市でデモが行われ、530万人が参加しました。
2018年のこの大規模なデモは、世界中のメディアに報道されました。

2018年デモの様子・主にマドリード Una huelga feminista de 6 millones de participantes (euronews)
2018スペイン各地のデモの様子:No solo en Madrid: la manifestación en otras ciudades de España | 8M Huelga feminista(elDiarioes)

「当然の権利を主張しろ」初参加した2018年のデモ

2018年3月、私は大学院と提携のある文化施設でインターンをしていました。
ところが、国際女性デーの数日前インターン先の上司(男性)に、3月8日は休むよう言われました。

「女性として当然の権利を主張しろ」と。

※当時私は大学院で美術史を勉強していました。よければプロフィールをどうぞ👇

上司の勧めもあり、3月8日はインターンの仕事を休み、大学院の友人達(チリ・プエルトリコ・台湾)と連絡を取り合いデモに参加することにしました。

バルセロナでは、昼に何千人もの学生によるデモ、そして夕方以降から主要な大通りに多くの人が集まりました。
私たちは夕方Diagonal−Gracia通りで待ち合わせでしたが、地下鉄の中は既にすごい人混み。
Gracia通りはパリのシャンゼリゼ大通りのようなハイブランドのショップが並ぶ大通りですが、あまりの人の多さに通りを渡るのも、友人達を見つけるのも一苦労でした。

私は主にチリの女性達が集まった、ラテンアメリカの女性グループと共に行進。
プラカードには「Mujer Descolonízate(女性達よ、植民地化から脱出せよ)」のメッセージ。
ラテンアメリカの歴史的背景にも重なる、印象に残る言葉です。

デモといっても、物騒なものではありません。
音楽隊と共に踊ったり、女性の権利を訴える歌詞の曲を歌ったり、平和的なデモです。
私の友人の旦那さまも途中から参加。
男性も沢山参加して一緒に行進しているのがとても印象的でした。

多くのプラカードには、女性が不当に低給料であることや、男性の暴力による女性の死者が絶えないことへの抗議メッセージなどが書かれていました。

この年のデモの成功が2019年へ続き、そして2020も...というところで、世界はコロナ禍に見舞われてしまいました。

一緒に行進したラテンアメリカのグループ

スペインのフェミニズム (Feminism)

自身をフェミニストと考えている人は44%

男女平等やジェンダーについて、スペインと日本との違いを感じることが多々あります。

ジェンダーに関していくつか挙げると、まずスペインでは同性婚が認められています。
女性の友人に奥さんを紹介されたり、友達に同性の恋人を紹介されることも多い。
大学で通っていた早朝ヨガクラスの更衣室は男女一緒で、みんな全然気にせず着替えていて、むしろ恥ずかしがってる自分が恥ずかしかった。

フェミニズムに関しては、自分自身を「フェミニストである」と考えている人が多いように感じます。

まだ日本から来たばかりの頃、マドリード出身のアナは「男の子から奢られたら腹が立つんだ」と言ってて、私は驚いてしまった。
自分が男性と同じ立場にないと思われているようで嫌なんだと。
そして若く見られると、なめられてるのかと思えて嫌。
だから早くどっしりと風格のある女になりたいと。
アナだけでなく、それ以降もアナと同様の考えを何回か耳にしたことがあります。

ジェンダーの平等に関する意識調査によると、スペイン市民の44%が自身をフェミニストだと考えているそう。
(Global Attitudes towards Gender Equality, 2019年)

家庭内では、男性も料理する…と思うけどこれは定かではありません。
バルセロナは多国籍な街で、私の周囲はスペイン人ばかりではないので、それがこの国のスタンダードなのかと問われるとハテナです。

ただ、友人の家を訪ねると旦那さまが料理を振る舞ってくれることも多いし、ホームパーティや誕生日パーティで彼氏や男友達が料理してくれたり。
スペインだけでなく、ヨーロッパの男性は料理が好きですね。
フランスの友達の家で過ごしたクリスマスも、旦那さまが張り切ってお料理してくれました。

そして会社では、女性上司の存在はなんら特別なことではありません。
インターン先のトップも女性だったし、周囲の友人の会社も女性の上司は珍しくない。
大学院修士のトップの教授も、お二人とも女性でした(途中で定年退職のため代わられた)。

でも実際、スペインの男女格差はどのようなものなのでしょう。
数字で表したものを調べてみました。

ジェンダーギャップ指数2020

世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数2020を見てみました。
スペインは世界第8位 ( 153カ国中 )という素晴らしい順位。
上位をほぼ北欧の国々が占め、そこにニカラグア、ニュージーランド、スペイン、ルワンダ、ドイツがトップ10に食い込んでいます。

この指数は、経済・政治・教育・健康のカテゴリーでの男女差を数値化したもの。
100%が最も男女差がないとした場合、ドイツ(78.7%)、デンマーク(78.2%)、フランス(78.1%)、英国(76.7%)などの国をおさえ、スペインは79.5%を達成しています。
(ちなみに日本は121位)

しかし意外だったのは女性管理職の割合。
スペインは22%と思ったより少なく、2019年の世界ランキングでは84位。
1位のフランス43.4%の半分です。(日本165位)

スペインで高いランクを達成しているのは特に政治の分野。
グローバルノート - 国際統計・国別統計専門サイトによると、国会・国家議会の総議席数における女性議員数の比率は、世界16位(42.6%) 。
(日本は14.4%で153位/ 190カ国)

日本はかなり下位ですが、教育の面では高ランクで、女性の大卒の割合は世界第4位。
スペインは21位。(統計2020年、25歳〜64歳)
日本は教育・健康の面ではなく、政治・経済の面での男女差が激しいということです。

最終的なランクだけを見ると、スペインの男女格差の平等さは世界でもトップレベル。
しかし蓋を開けてみると、経済的・キャリア的な格差はまだまだ大きい。

また、スペインでよく耳にするのはマチスタ(男性優位主義者)による女性への暴力。
ニュースだけでなく身近でも聞く話で、「友人が男に殴られて避難場所を探してるので泊めてもらえないか」と連絡が来たことが何度かあります。

しかし、政治の世界ではトップポジションにいる女性議員が沢山いる。

つまり女性の声が国政に反映されやすいわけですから、心強いなあと思います。

男女平等の育児休暇に関する法案

2021年より、スペインでは男性の育児休暇が16週間となりました。
これは男性の育児休暇としてはEU内でも最長です。

以下林真弓さんの記事より抜粋。

実はこれはこれまで段階的に伸びていて、2018年5週間だったのが、2019年8週間、2020年12週間、遂に今年から女性と同じ16週間となった。

この育休は100%有給(普段のお給料全額保証)で国の社会保障制度で賄われる。
最初の6週間は夫婦同時に連続して取らないといけないが、その後の10週間はどう取ろうと自由。
夫婦交代で取ってもいいし(母親の育休が終了したあと父親が取る、等)、時短で働いて少しずつ消化してもいい。
また、この育児休暇は夫婦間で譲渡不可、つまり、パパとママは必ずそれぞれが16週間休みを取らないといけない。この意味は大きい。

男女の育児休暇の期間が平等というのは社会的に大きな意味をもちます。

日本で女性が就職活動をする時、いまだによく聞かれる質問。
「結婚の予定はありますか?」
この一言には「すぐ結婚し妊娠して子供を産むのなら大事な仕事は任せられない」という意味が暗にこめられているのでしょう。

スペインでは男性にも平等にこの育児休暇が与えられているわけで、女性だけにこの質問をすると矛盾が出てきます。
(就職の面接でそうしたプライベートの質問をされることはまずないですけど)

この法案が今後スペインのジェンダーギャップに与える変化には、今後も要注目です。

さて、例年ならもうすぐ国際女性デーのデモがある3月だな、と思い、この機会にスペインの男女格差やフェミニズムなどについて書いてみました。

日本では、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森会長の女性蔑視発言が問題となりましたね。
日本のニュースがスペインで取り上げられることは、普段はあまりありません。
しかし、オリンピックという国際イベントでもあることから、このニュースに関してはスペインだけでなく世界で報道されました。

スペインの国際女性デーの数万人のデモの様子。
スペイン国内だけでもどれだけの数の女性を敵に回すことになるのか…
ご理解いただけるんじゃないいかな、と思います。

では、また! Hasta pronto👋
Nana

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参照サイト:
MANUEL V. GOMEZ, JOSÉ MARCOS, Movilización histórica por la igualdad de las mujeres, EL PAÍS, 2018/3/9 [https://elpais.com/economia/2018/03/08/actualidad/1520545956_654616.html]
Las mujeres toman las calles contra el machismo en un reivindicativo 8-M, Vanguardia, 2019/3/9
[https://www.lavanguardia.com/vida/20190308/46917200410/huelga-feminista-dia-de-la-mujer-8-de-marzo-manifestaciones-espana.html]
林真弓, スペイン最新情報「これは凄い! スペインパパの育児休暇、今年から16週間に!」, en 欧州最新情報, 2021/1/10 [https://www.designstoriesinc.com/europe/spain2/]
世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2020」を公表, en 男女共同参画局, 2020年3月4月号[https://www.gender.go.jp/link/public_olink/olink_kyodosankaku_202003_03.html]
Mind the 100 Year Gap, World Economic Forum, 2019/12/16
[https://www.weforum.org/reports/gender-gap-2020-report-100-years-pay-equality]
SPAIN IS AMONG THE TOP TEN MOST ADVANCED COUNTRIES IN TERMS OF GENDER PARITY, en #ThisIsTheRealSpain, 2020/1/13[https://www.thisistherealspain.com/en/spain-in-the-world/equality/spain-is-among-the-top-ten-most-advanced-countries-in-terms-of-gender-parity]
世界の女性議員割合 国別ランキング・推移 データ, グローバルノート - 国際統計・国別統計専門サイト, 更新日2021年2月15日 
[https://www.globalnote.jp/post-3877.html]
女性大卒人口比率, グローバルノート - 国際統計・国別統計専門サイト, データ更新日2020年9月30日
[https://www.globalnote.jp/p-data-g/?dno=9352&post_no=13892]

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