街歩き

〜 VIC の中世市場〜バルセロナ近郊の街を散策・12月クリスマスシーズンのお勧め

12月にバルセロナからの小旅行先としておすすめ、Vic の中世市場(Mercado Medieval de Vic)をご紹介します。

街の皆が中世の衣服をまとい、伝統舞踊や工芸品をふるまう。
まるで映画の世界のような雰囲気を味わえる、小さな町のフェリアの様子や歴史を覗いてみてください。

Vic は小さな落ち着いた雰囲気の街。
バルセロナから電車で一時間半ほど。
バルセロナから日帰りでも良し、ゆっくりするなら一泊するも良し。

私は一泊二日でゆっくりしてきました。
ホテルもすごく良かったので、最後に紹介しますね。

今回はこのMercado Medieval de Vicがどんなものか、2019年の様子をご紹介します。

VIC の中世市場 2022年の日程


毎年12月初旬に開かれるこのFeria。
2020年はコロナでキャンセルでしたが2021年から再開。

2022年は12月8日から11日、10時から20時の予定です。
お祭りの公式サイトはこちら。右上の方で言語(スペイン語、英語、カタラン語)が選べます
https://www.vicfires.cat/mercat-medieval-vic-2022



Plaza Mayorのクリスマスツリー🎄

Vic 中世フェスティバルの様子

Vicはカタルーニャの典型的な中世の都市。

このFeria(お祭り)の時は、小さな街中に350ほどの出店が並ぶます。
古代の工芸品のデモンストレーションがあったり、はちみつや焼きたてのパンやケーキ、手作りの石鹸や香水、香辛料、装飾品やおもちゃなど色んなオリジナルのものを販売しています。
クリスマス前のこの時期に、プレゼントを探している人にはピッタリ🎄

街中では様々なアクティビティが行われています。
ダンスやパッサカリア(スペイン起源の3拍子の舞曲)、アーチェリー、マリオネットや乗馬(大きな馬じゃなくて、ロバやポニーです)など...。

そして何と言っても、お店やアクティビティの担い手が中世の衣装を纏っているのがこのお祭りの特徴!
まるで本当に何世紀も遡って中世の都市を訪れたような、映画の世界に迷いこんだような気分を味わえます。

Vic の中世市場。イスラム文化も残存。沢山の種類の香辛料
イスラム文化も残存。沢山の種類の香辛料
橋のたもとでアーチェリー
橋のたもとでアーチェリー
黒豚のソーセージ
黒豚のソーセージ


カテドラルの前。まるで映画みたいです。

剣技が見れたり😍


私はFeriaでお祭りのストリートフードをいただきました。
Butifarra (ソーセージの一種で、カタルーニャの伝統的な食べ物)や、パエリア、ガリシア風タコなど色々あって楽しいし美味しい😊!

Vicはバルセロナから1時間ほど山間の方に北上したところにあるので、バルセロナより大分涼しい。
なのでバルセロナで見かけることが少ないホットワインもあり、私はずーっとホットワイン飲んでご機嫌でした(笑)

もし食事をレストラン等でゆっくり食べたいなら、Feriaの時期は必ず予約すべし!
もしくは車で行く場合は道中のどこかで食べるのも良いですね。

タコのガリシア風とButtifara
大鍋でパエリア🙌
中世の衣装を着てButiffaraを焼いてます
ちょっと早めのカルソッツ

Vic の場所・行き方

さて、バルセロナからVicまでの交通手段。
車以外に電車とバスがあり、簡単。
約1時間〜一時間半位で、気軽にいけます。 

帰りの電車に中世の衣装のままの男性が乗ってきてちょっとウケました😄

コロナの影響で交通網も変更があるかもしれないので、かならず最新情報を確認してくださいね。
(下記は2020年11月、12月に確認したものです)

1)電車

カタルーニャ広場駅、Arc de Triomf (凱旋門)駅、La Sagrera-Meridiana駅 などから
Linea R3 
Renfe・Rodales近郊電車のHPはこちら
https://www.renfe.com/es/en/cercanias/cercanias-barcelona

2)バス 
Sagalés 社のバス  Feriaの時期は往復とも早めに要予約。
バスはバルセロナ市内の色んなところから出ているみたいです。
Sagales社のHP、チケット予約ページ (右上方で言語が選べます)
https://www.sagales.com/sale/

宿泊したホテル(オススメ!)

Les Clarisses/Hotel Boutique
Plaça de Malla 1, Vic, Barcelona, 08500, España
https://es.hoteles.com/ho940846304/?pa=1&tab=description&q-room-0-adults=2&intlid=SoldOutListing&ZSX=0&SYE=3&q-room-0-children=0

フェリアの会場からも近いし、フロントの方の接客もとても気持ちよかったです。
朝ごはんはフェリアで食べよう!ってことで頼まなかったです。
ホテル予約サイトでたまったポイントで宿泊したんですが、ベッドもフカフカ、バスルームも広く清潔で良いホテルです。
って窓から見える街の風景しか撮ってなかったので、ホテルサイトから写真を拝借(爆)

Vicの歴史

せっかくだからVicの歴史の資料をいくつか読んで訳してみました。
世界史でちょっと習ったかな?っていう名前がちょこちょこ出てくるかも。

興味がある人は読んでいただいて、ない方はサラッとどうぞ✈

おどろおどろしいお祭りの飾り!
兜や剣、おどろおどろしい生首など、ちょっとびっくりのお祭りの飾り…

Vicの歴史は、様々な争いに巻き込まれ、実に血なまぐさい。

だからなのでしょうか。
Feriaでも、展示されている中世の兜や剣などの横に、おどろおどろい生首や血だらけの手が転がってたりします😂
しかも結構リアル💦
子供も沢山いるお祭りですが、そこは文化の違いということで(汗)

古代ローマ時代の神殿

Vicの起源

Vicの歴史は紀元前4世紀まで遡ります。
Vicは、古代イベリア人の1民族であるAusetani人の町であり、当時はAusoと呼ばれていました。

古代ローマ人が神殿を作った2世紀頃が、最も街が栄えた時代。
神殿は、後にMontcada城の一部となって住居として使われ、またその後牢獄としても使われました。
Montcada城は19世紀後半に取り壊され、現在は壁の一部のみ残っています。

西ゴート王国時代、そしてイスラムの時代。

ゲルマン民族の大移動で、507年西ゴート族はイベリア半島に侵入。
569年、トレドを首都とする西ゴート王国が建国されました。
この西ゴート王国時代、Ausoは司教区の本部でした。

ところが711年より西ゴート王国の内乱が起きました。
また、イスラム教徒がアフリカ大陸より上陸・北上し、キリスト教徒の街を征服していったのです。

788年、イスラム勢力(サラセン人と呼ばれた)がAusoを征服。
826年、Aisó(Aysun)の反乱により街は崩壊してしまいました。

中世〜街の再建〜

878年、Osona州の創設とVICの再都市化により、古代のAusoの街が再建されました。
再都市化の当初は古代ローマ神殿の塀しか残っていなかったそうです。

新しい街の名前はVicus Ausonensis (Vicsはラテン語で自治都市を意味する)。
そこからVicという現在の街の名前が生まれました。

司教区本部として再建された街には、カテドラルが建築されました。
1038年にOliba 司教が聖別したカテドラル (Catedral de Sant Pere)は、今も地下聖堂と鐘楼が残存しています。

この中世の時代に公権力が民営化され、Vicの街は2つの政治勢力に分割されました。
一つは司教管轄(1316年に王に移譲)、もう一つはMontcada城領主たちの管轄。
こうした2つの勢力は中世期の街の生活を特徴づけ、カテドラル、城、そしてプラザ・マヨールの周囲に街が発展しました。

14世紀には見張り塔のある塀が街の周囲にめぐらされました。
この城壁 (Muralla de Pere Ⅲ)は、現在はLa Ramla dels Montcada (モンカーダ通り)に残っています。

1450年、アロフォンソ・アラゴン王がモンカダ家の子孫から党を買収し、街を統一しました。

中世後期〜 度重なる戦争と混乱

しかし中世後期には、様々な党派間の争いや、フランスとの戦争が街に不況をもたらしました。

スペイン王位継承戦争(1701−)においては、Vicはフェリペ5世中央政権に対する反乱軍の拠点でした。
1714年のオーストリア大公軍の大敗は、大公への支持を表明していた街に混乱をもたらしたのです。
(その結果カタルーニャは一国家としての自治を失い、スペインの一地方へと転落)

しかしその後18世紀においては、経済と人口が回復し、街は再発展しました。
彫刻・建築工房は重要な仕事を担い、現在のカテドラルなど民間施設・宗教施設が多数建築されました。

19世紀には、フランスとの争い、カルリスタ戦争(1833-1876・スペインの王位継承をめぐる戦争)など、度重なる争いが勃発します。
Vicの街はそれらの争いに巻き込まれ、Ter河流域の様々な工業は移転し、街は経済危機に陥ります。

19世紀後半 文化的高揚・街の再興

街を復興させたのは、1875年に完成されたVicとBarcelona間をつなぐ鉄道建築でした。
中世の聖堂学校や、17世紀のVic文学大学などへの伝統回帰が起こってセミナリオが機能し始め、文化的高揚が起こりました。
セミナリオの生徒の中には、Jaume Balmes, Sant Antoni Maria Claret やJacint Verdaguerなどの著名人物が多数存在します。
彼らの貢献により、Vicはスペインの文学・政治の再興に重要な役割を担いました。

20世紀の市民戦争と戦後の中断を経て、Vicの街はカタルーニャの文脈の中で伝統的な重要さを取り戻したのです。

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Vicは小さくてコンパクトな街。でもその歴史背景には様々な争いがあったんですね。
中世のお祭りに、兜や剣、おどろおどろしい生首などの飾りなどを目にするのは、こうした戦いの歴史があるからなのです。

バルセロナよりもはるかに「カタルーニャ的」なこの街は、Plaza Mayorに大きなカタルーニャ独立派の旗があがっていました。
また、バルセロナと違い、カタルーニャ語使用率が断然高い。
むしろカタルーニャの中では、バルセロナのように様々な国の人が住みカステジャーノ語(スペイン語)使用率が高い街のが特殊なのかもしれません。

カタルーニャ語って何?という方は特集した記事を覗いてみてください。👇

バルセロナからちょっと出かけてタイムスリップできるVicへ中世市場への小旅行、オススメ。
ちょっと歴史をかじったから次回行く時はもっと楽しめるかな。

ではまた〜Hasta pronto👋

Nana

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