2月は、華やかな カーニバル の季節。
カーニバルって、ブラジルじゃないの??と思う方、絶対いるはず。私もそうでした。
本来、カーニバルはキリスト教の宗教的意味合いを強くもつものでした。
そのためスペインではもちろん、今は世界各地で祝われているんです。
ブラジルのリオのカーニバルや、ベネチアのカーニバルなどが有名ですが、例えばメキシコ・ベラクルスのカーニバルもとても華やかで、ストリートで皆サルサを踊り、有名サルサバンドのライブが楽しめるそうですよ。
さて、スペインでも2月は各地でカーニバルのイベントがあります。
スペインの現在のカーニバルは、世界の様々な国・地方と同様に、キリスト教の四旬節(La Cuaresma)に関連する、様々な異教徒のお祭りが集合したものなのです。
2021年はコロナの影響で、いまのところカーニバルを含む全ての伝統行事は中止。
リオも6月に延期する予定でしたが、それも中止になったそうです。
世の中が落ち着いてから安心して楽しめるよう、今から色んな伝統行事をリサーチして気分を盛り上げておこうと思います。
Contents
スペインの カーニバル の歴史
スペインのカーニバルの歴史は古く、中世から記録に残されています。
本来はキリスト教の宗教的意味合いをもっていました。
キリストが十字架に架けられて亡くなり、その3日後に復活したことを記念する復活祭。
その復活祭の前日までの40日間を四旬節(La Cuaresma)といい、四旬節の間は節制し祝宴を自粛する慣習がありました。
四旬節がはじまる前夜をお祝いしたことからカーニバルが始まったといわれています。
メモ
四旬節( La Cuaresma):灰の水曜日〜復活祭の前日までの40日間
謝肉祭(Carnaval):灰の水曜日の前日
灰の水曜日( El Miércoles de Ceniza):四旬節の始まりを告げる日
聖金曜日( El Viernes Santo):キリストが十字架にかけられ亡くなった日
復活祭( La Encarnación):亡くなったキリストが三日目に復活したことを記念する祭日
2021年 スペインにおいては灰の水曜日 2/17 聖金曜日4/2 復活祭4/4)
四旬節の間の40日間は、節制のひとつとして、肉を口にするのを避け魚を食べていたそう。
そうした伝統的な職習慣は現在でも形を変えて残っています。
関連記事:鱈(バカラオ)について
さて、スペイン各地で祝われるカーニバルのイベントですが、そんな中でも華やかさが格別なサンタ・クルス・デ・テネリフェと、独特なカーニバルの伝統があるガリシア・オウレンセのカーニバルをご紹介します。
スペインのカーニバルの中でも歴史が古く、最も有名なのがカナリア諸島のサンタ・クルス(テネリフェ島)のカーニバル。
リオのカーニバルについで重要視されるほどです。
テネリフェは、スペインといってもイベリア半島から遠く離れていて、むしろモロッコや西サハラの近く。
私のテネリフェ出身の友人はmorena(浅黒い肌)でエキゾチックで印象的な風貌。
サンタ・クルス・デ・テネリフェのカーニバルは、スペインの中で最もブラジリアン的、というのも容易に想像がつきます。
15世紀にカナリア諸島がカスティーリャ王国に征服され、スペイン人やポルトガル人がカーニバルをもたらしたと言われています。
人気のイベントの1つに、ムルガといって、流行のメロディを使い、その年の時事問題などの風刺的な歌詞をアカペラで歌うイベントがあります。
そしてカーニバルの女王を選ぶコンテスト、賑やかな音楽隊と色とりどりのダンサー達の華やかなパレードと続き、街はきらびやかな空間に生まれ変わります。
山車に乗って踊っている女性たちが着ている巨大な衣装は100キロもあり、この日のためにジムに通い体力をつけて臨むそうです。
こうした華やかなイベントは10日ほど続きます。
そして祭りの終焉を告げる「イワシの埋葬(Entierro de la saldina)」ではイワシの山車がパレードし、炎に包まれます。
「イワシの埋葬」は賑やかなカーニバルに別れを告げ、節制の期間である四旬節の準備をするための伝統儀式。
喪服に身を包んだ女性が棺に納めたイワシの亡骸を抱え、その未亡人に人々が続き葬式行列を行い、最後にはイワシを火葬し埋葬する...というシュールな行事🐟
サンタ・クルスだけでなく、カーニバル行事を行う地域では締めくくりして行わうところが多いようです。
葬式行列だけでなく、イワシのバーベキューを振る舞う屋台も並んだりします。
なぜイワシなんでしょうか?
イワシは、伝統的に過去を象徴する魚なのだそうです。
そのイワシを荼毘することは、過去の悪いことを忘れる事とされ、そしてそれを土に埋める時、過去の良くないものがポジティブなものへ生まれ変わる象徴とされています。
イワシの埋葬は未来への新たな希望を意味しているのです。
(セゴビア観光局のHPより)
スペインの著名な画家、フランシスコ・デ・ゴヤも、このイワシの埋葬を絵画として描き残しています。
さて、サンタ・クルスのブラジリアン的なカーニバルと全く異なり、とても個性的なガリシア地方のカーニバル。
ガリシア地方はスペインの北東部、ポルトガルに近い地方です。
ガリシア地方の中でもポルトガルとの国境の街、オウレンセ(Ourense)には個性的なカーニバルの伝統が残っています。
下の地図の赤枠がガリシア地方、赤い★マークがオウレンセです。
ガリシア地方のカーニバルはエントロイド(Entroido) とも呼ばれ、9つの地域でカーニバルが行われますが、各地域で衣装や仮面が異なり、とっても面白い!!
メモ
カーニバルが行われるのは以下の9つの地域。
シンソ・デ・リミア (Xinzo de Limia)、ベリン(Verín)、ラサ(Laza)、ビアナ・ド・ボロ(Viana de Bolo), ビラリニョ・ド・コンソ(Vilariño de Conso)、コブレス(Cobres)、マンサネダ(Manzaneda)、シェネライス・ダ・ウッヤ(Xenerais do Ulla)、マセダ(Maceda)
その中でもベリン(Verín)、シンソ・デ・リミア (Xinzo de Limia)、ラサ(Laza)のカーニバルは有名で、この3つの地域は魔法の三角地帯と呼ばれてるそうです。
ベリン(Verín)ではシガロン(cigarróns)、シンソ・デ・リミア (Xinzo de Limia)ではパンタージャス(pantallas)、そしてラサ(Laza)ではペリケイロ(peliqueiros)と呼ばれる仮面をつけ、伝統的な手縫いの服を身に着けます。
ベリン(Verín)では、仮面にカラフルなベスト、半ズボンで腰に大きな鈴をつけ、鞭を持った「シガロン(cigarróns)」のパレード 、「ドミンゴ・デ・コレドイロ(Domingo de corredoiro)」で幕を開けます。
そしてその日の夕方から夜にかけて仮装の踊り「ファリニャダス」が行われます。
一方、カーニバルの正式スタートは「フエベス・デ・コマドレス」。
女性たちが男性を家に残し、仮装をしてディナーを楽しみます。
そして夜には、大勢の人がストリートのカーニバルパレードを楽しみます。
カーニバルの間には、粉の戦い、仮装ダンス、パレード、バンド演奏やコンクール、伝統料理の試食等が繰り広げらるそうです。
(参考:スペイン観光公式サイト)
下の動画はベリンのカーニバルの紹介動画。
同じスペインのカーニバルなのに、サンタ・クルスとこんなに違うとは😳!
一方シンソ・デ・リミア (Xinzo de Limia)ではパンタージャス(pantallas)と呼ばれる仮面をつけた人たちが街を闊歩します。
彼らは大きい風船みたいなものを手にしていますが、これは牛の膀胱を乾燥させたものだとか(で、でっかい💦)。
彼らは仮装してない(成人)男性を捕まえては、バーに連れていき白ワインをおごらせるそうです(笑)
さて、ベリンの説明でも粉の戦いと出てきましたが、下のシンソ・デ・リミアのカーニバル動画でも、粉を投げつけあって真っ白になってる人たちがいます😳
そして、ラサ(Laza)のカーニバルではペリケイロ(peliqueiros)が主役。
彼らの使命は悪霊を追い払うこと。
彼らは鞭を使って、変装せず通りを歩いている人達を攻撃します。
ラサでは、ペリケイロが観衆に、蟻と、泥を混ぜた小麦粉を投げ浴びせる😨という他地域のエントロイド(カーニバル)では見られない風習があるそうです!
下の動画では観衆がレインコートみたいなのを着てますね。
粉はどうあれ蟻は嫌だな(笑)
その他の地方の衣装もカラフルで面白いですね。
バルセロナの カーニバル
さて、私が住んでいるバルセロナでも、例年はカーニバルのイベントが大々的に開催されます。
その中でも面白いのが La Taronjada「オレンジ合戦」というもの。
その昔は本当のオレンジを投げつけあったそうですが、今はオレンジに見立てた風船や花火が街をオレンジ色に染めます。
カーニバルのイベントをする学校も多くて、可愛い仮装をした子どもたちを見かけることも多い楽しい季節です。
そしてバルセロナでも例のシュールな伝統行事、イワシの埋葬が見れます。
イワシのBBQを食べてどんちゃん騒ぎを締めくくりましょう!
バルセロナがあるカタルーニャ地方のカーニバルの時期の伝統的な食べ物の1つに、Butiffarra de Huevo (卵のソーセージ)があります。
四旬節の間は肉も卵も節制しなければいけなかったことが由来で、このソーセージを使ったオムレツが定番料理です。
さて、今回取り上げた地方以外にも、例えば南スペインのカディスなど、カーニバルが有名なところはまだまだありますよ。
私、実は昨年3月にスペインがロックダウンして以降、サンバを習ってます。
先生はリオ出身のブラジリアン。
先生のグループはバルセロナだけでなく、リオのカーニバルでも踊ったみたいです。
年齢の幅も広く(ここがポイント笑)多国籍なグループでとっても楽しいですし、いつかカーニバルでも踊れたらいいな。
踊る阿呆に見る阿呆、同じアホなら踊らにゃソンソン♪
って知ってます?これ(笑)
来年以降のカーニバルが楽しみです!
それではまた!Hasta pronto👋
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Follow @Nanita7777参考サイト:
https://www.idealista.com/news/vacacional/destinos-turisticos/2019/02/19/771646-los-mejores-carnavales-de-espana#Verin
https://www.turismo.gal/que-facer/promocions-para-gozar-agora/o-entroido-en-galicia?langId=es_ES
https://www.tradicionesyfiestas.com/fiesta/carnaval-de-xinzo-de-limia/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%B5_(%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3)
https://www.spain.info/ja/karendaa/berin-entoroido-kaanibaru/
https://www.facebook.com/315446775541323/posts/906086986477296/