早いもので修士論文 (TFM) の提出・プレゼンが終わってから半年も経ってしまいました!
光陰矢の如しとはこのことです。
忘れない内に、修士論文のことを少し書き留めておこうと思います。
修士論文はスペイン語で Trabajo Final de Máster (修士最終課題)、 略してTFM (テー・エフェ・エメ)。
記事内では以下TFMと書きます。
ひとつの記事で全てを語るのは難しいので、特に大事と思ったこと、失敗したと思うことをピックアップしてまとめようと思います。
また、比較文学と美術史の二つの修士を修めましたが、この記事では美術史修士のTFMに絞って記述します。
Contents
TFM の研究テーマについての悩み
まず、美術史修士論文での研究テーマについて最初にぶちあたった壁。
それは、どの先生にも自国に関係のあるものを書けと言われたことでした。
自国のことについては他の学生よりもよく理解しているはずだ、そして他の学生が新しいことを学べる内容で、大学に貢献できるものを書くべきだ、というわけです。
「スペインに来て日本に関連したことを書く」
矛盾があるような思いになりましたが、しかしそれは正論でもあります。
しばらく悩みましたが考えを切りかえ、日本人の自分だからこそ書けることがあるはずだと思い直しました。
TFMはもちろん修士の最後を飾るものですが、元々関心が高かったものについては各科目の課題論文のテーマに選び研究すればいい。
そう考えました。
結果的には、全体を通して幅広い学びができたと思っています。
TFM の研究テーマは早めに決めるべし
修士をどれくらいの期間で終えるにせよ、TFMのテーマはなるべく早く決めて、自分の中でおさめておかず、早めに先生たちと共有しましょう。
最終的に指導教授が決まるのはTFMを提出する年ですが、2年以上で修める学生も、ざっくりとTFMの方向性が決まっていれば1年目から指導をしてほしい教授に相談していました。
学士の学生も「まだ提出は来年度なんだけど…」と相談しに来てましたね。
ここが私が大失敗した部分です。
ある程度内容を熟考し構成を決めて相談しよう…そう思っている内にどんどん時は経つもの。
内容や構成を固めるのは後でも良いので、興味があるテーマがあれば早めに相談するべし!
私が通っていた修士は、まずコーディネーターが相談窓口で、内容により適切であろう指導教授を紹介してくれることになっていました。
私はコーディネーターに相談するのが遅かったですね。
希望テーマに詳しい学内の教授は既に沢山の指導学生を持っていて、新たに学生をもつのが難しかった。
そのため、コーディネーターが紹介してくれたのは別の大学の教授でした。
その教授の論文を読んだこともあったし、紹介していただいたのは光栄でした。
しかし、その学外の教授と面談して分かったこと。
私が頭に描いていたテーマは、まさにその時研究を進めでいるプロジェクトが既に存在したのです。
当然、TFMのテーマは先行研究とかぶらない内容にする必要があります。
面談では、別のテーマ、私が知らなかったアーティストの研究を提案してくださいました。
それは素晴らしいアーティストで、私も面白いかもしれないと思いしばらく研究を進めたんですが...根本の理論にはまりきれず、論文を仕上げるのは難しかった。
やはりテーマの根幹が自分が求めていたものとずれてしまったんですね。
また、ちょうどその時受講していたarte y género(アートとジェンダー)という授業が自分の学士論文のテーマとも重なる部分があり非常に興味深かった。
悩んだ結果、指導をお願いしていた学外教授とコーディネーターに正直にお話して、テーマと指導教授を変更することになったのです。
たかがTFM、されどTFM。
100枚の論文を仕上げるには、しばらくは専念しないと仕上がらない。
テーマの主軸にぶれがあると難しかったのです。
お願いしていた教授には非常に失礼なことをしたと申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが...。
自分の論文ですから、わがままを通させてもらいました。
ちなみに元々研究したかったテーマのプロジェクトは今年お披露目があるそうで、とても楽しみにしています。
1年の修士はかなりタイトスケジュール
TFMの満足度を求めるなら、できるかぎり1年のコースは避けた方がいい。
これは最初の説明会の時にコーディネーターの教授が繰り返し口にしたこと。
1年だと、コースが始まった途端にTFMのテーマを決めて進めていくことになります。
ボリュームのある各課目の課題をこなしながら、さらにインターンの仕事等もこなしながら、TFMを進めないといけない。
締め切りに追われまくって、消化不良で1年を終えることになりかねません。
また修士の勉強内容次第で自分が研究したいことが変わってくることもあります。
今はコロナの影響で仕事を見つけるのは難しいですが、制度的には学生ビザでも週に20時間までは仕事ができます。
仕事をしながらゆっくり学業を進めることも考えて良いのではないかと思います。
1年の修士で満足できるかどうかはあくまで個人の能力にもよりますし、スペインの修士は博士課程にいくための手続きのようなもの。
ただ、1年でTFMまで終わらせた同級生たちは、個人的満足度が低かった人が多い印象があります。
言葉はツール。ツールがポンコツなら改善策を探せ。
さて、これまた苦労したこと。
容易に想像できると思いますが(笑)修士全体を通して苦労した言語について。
私が通った修士課程では、皆スペイン語あるいはカタルーニャ語で論文を提出しました。
言語は、ツール。ツールが素晴らしければ内容がすんなりとそして深く伝わります。
でもツールが未熟だったり、あるいは錆びてたりすると、内容が良くても伝わりません。
洋書の和訳を読む時に内容がひまひとつ染みないことや、日本語力がまだ低い外国の方と話す時に、どうしても浅い話に終始した経験はありませんか。
私が重視したのは、内容を読んでもらえる論文を書くこと。
そんなこと当たり前じゃないか、と思うでしょう。
その当たり前レベルに立つことへの努力が必要だったのです。
つまり言葉の問題で内容を軽んじられることを絶対に避けたかったのです。
先生達の立場で考えれば、例えば読みにくい日本語で書かれたものを100枚も読みたくないですよね...。
もちろん留学前に十分に語学能力を向上させて、アカデミックレベルで問題ない言語能力があるのが一番です。
ただ私は自分がそのレベルにないことは十分に分かっていました。
私のスペイン語歴等に関しては、少し言及している別記事をどうぞ。
DELEのB2に関しては、DELE受験に特化した勉強はしていないので参考にはならないと思いますが...。
さて、私のポンコツツールで、どうしたら読んでもらえる論文、というスタート地点に立つか。
幸いこの現代、様々なツールがあります。
自分のツールがポンコツなら猫の手でも借りろ…とは言い過ぎかもしれませんが、私は自身の語学能力で難しい部分はGoogle Translate や、様々なツールを使っても良いと思います。
そうしたツールから新しい表現を学ぶこともあります。
ただしそうしたツールをかけるとへんてこな訳になる場合もあるので要注意ですが。
また、私は利用しませんでしたが、論文の言語校正をしてくれる方がちゃんといるらしく、大学内で案内を見たことがあります。
そういう方にお願いするのも良いと思います。
校正前後の文を見返すことで、自分自身の誤りにも気づくこともできるでしょう。
私が恵まれていたのは、教養があり協力的なスペイン語圏の友人が色んな国にいたこと。
TFMだけでなく、修士全体を通して、各課目の論文課題(ひとつがおよそ20-30枚くらい)についても、国境や大陸、海を越えてオンラインで校正してくれました。
ただし、内容に興味があるだろう、知識があるだろう人に見てもらうのが一番です。
特にTFMになると100枚以上で専門的な用語も沢山ありますし、やはり興味がない人は読むのさえ苦痛だと思います。
もちろん”校正”ですから基本は当然自分が書きます。
そしてボロクソに言われることは覚悟の上で見てもらいます(笑)
「内容は良いよ!でもスペイン語がねえ....」
これは「内容は良い」のところだけを心に残しましょう(笑)
最後の最後、TFMを提出して担当教授とジャッジの教授に「内容は良いよ、でもスペイン語が…」と言われたくない。
中身の話をしてほしい、そう考えたのです。
校正を通した友人たちとのやりとりの中から、言語のことだけでなく、新しい気づきがあったり、素晴らしい助言をもらえることもあります。
TFMを指導教官とだけでなく、またTFMだけでなく修士全般を通して、自分の考えを色んな友人たちと共有したことは、私にとってとてもプラスになったと思っています。
プレゼンについて
最後にプレゼンについて少し。
日本人はプレゼンが苦手と言われますが、我ながらこれは本当にそう。
私も人前で話すのがとっても苦手で、スペインの修士では個人あるいはグループでのプレゼンが課されることが多いのが本当に苦痛でした。
でも修士を通して何回もプレゼンしてみて、分かったんです。
とにかく何度も練習して、本当は心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしていても、いかに自信を持って堂々とした態度でプレゼンするか、これが大事。
大げさに聞こえるかもしれませんが、根が小心者なので舞台の演技くらいのつもりで毎回リハーサルしてました(笑)
そのリハーサルと演技のおかげで、同級生達は私がプレゼンや人前で話すのが苦手とは思ってなかったそうですよ。(騙されてくれてありがとう!)
しかし各課目のプレゼンならまだしも、TFMのプレゼンは心臓が飛び出るほど緊張するであろう自分の性格が分かっていました。
その対策として、同級生のTFMのプレゼンを出来るだけ視聴しました。
色んな同級生のプレゼンを聴くことで、構成などの参考になり非常に有益だったと思います。
そして自分の指導教授が担当している他の学生のプレゼンも視聴させてもらいました。
というのも、その教授が自分の担当学生の最終プレゼンの際に”超辛口・辛辣な評価”でめんくらった、と友人から聞いていたので...。
実際にTFMのプレゼンを視聴してみると、確かに辛口でしたが、その辛口が必ずしも成績と直接結びつくわけではありませんでした。
先生も人間ですから個人の癖がありますよね。
こうしたことが事前に分かったので、心構えができて良かったです。
私はコロナ禍の中でしたのでオンラインでのプレゼンでした。
プレゼンは、30分。指導教授とジャッジの教官が2人。その後質疑応答。
一旦退出して3名の教授が話し合い、その場で成績と、評価内容を伝えられます。
トータルで75分ほど時間をとっていただけました。
自分でも足らないかな、と思ったところは的確に指摘があり、全てのコメントが次に繋がるような、とてもポジティブなアドバイスをいただけたと思います。
私は、TFMの成績の目標を 8/10 としていました。
その目標が高いかどうかは分かりませんが、8を越えたいとずっと思ってました。
結果は 8.5/10 でした。
目標を越えたんですから、わー嬉しい!!と思うべきですよね。
いや〜人間って欲があるんです。
わー!っと思ったその次の瞬間には…「ああ、どうせなら9が良かった、目標を9にしたら良かった」と思いました(笑)
これから大学や大学院へ留学しようと思ってる方、または何か試験を受けようと思ってる方。
是非目標を高めに設定して、ご自身と戦ってください!!
オンラインプレゼンで写真が残っていませんが、インターンのプレゼンをした時の写真を貼っておきます。
人間の(私の)記憶は儚いので、まだ記憶が鮮明で新鮮な内にと思い記録しました。
あまり出来が良い留学生ではなかったですが、ポンコツなりの努力を感じていただけて(笑)そしてどなたかの参考になるようであれば幸いです🌸
では、また! Hasta pronto👋
Nana
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