留学・語学・大学院

【カタルーニャ語】〜バルセロナ(カタルーニャ)はバイリンガルの街〜スペイン語とどう違う?無料で習える現地コース情報・日本で教えている先生の紹介も有。

バルセロナのあるカタルーニャは、"カタルーニャ語"と"スペイン語"のバイリンガルの街。
そんなことも頭になかった20才の初スペインで、バルセロナの地下鉄の表記が全く分からず驚いた思い出があります。
(当時既にある程度スペイン語の基礎は勉強していました)

ほぼ全てにおける表記がまずカタルーニャ語。次にスペイン語か英語。
そして美術館や文化施設などではフランス語の表記も併記されてるところがあります。

バルセロナにいると避けて通れないカタルーニャ語について書いてみました。

"カタルーニャ語"とは?カタルーニャ語とスペイン語の違い

カタルーニャ語とスペイン語は似て非なるもの。
方言ではなく、カタルーニャ語はれっきとした言語で、文法も異なります。

カタルーニャは地理的にフランスに近いので、フランス語に似た単語も多いようです。
フランスに住んでる友達はスペイン語よりカタルーニャ語が分かる!ってビックリしてました。(羨ましい!)

またスペイン語圏の方にとっては理解できるようになるまでそう時間はかからないようです。
(話せるか、とはまた別)
つまりスペイン語のレベルが高いと、カタルーニャ語の習得も早いんだと思われます。

下に少し例をあげますが、スペイン語と微妙に違う単語もあれば、全く違うものもあります。

日本語スペイン語カタルーニャ語
derechadreta
izquierdaesquerra
りんごmanzanapoma
ventanafinestra
昼ごはんalmuerzodinar
夜ごはんcenasopar

そしてカタルーニャ語は時間の表現が複雑!!

ちょうど00分の時間(8時00分、6時00分など)を過ぎると、時間を示す「基準」が一時間先どりしちゃうのです💦
つまり2時なら3時、5時なら6時が基準になる...。

しかも分の基準は1時間の4分の1(15分)刻み😨

例えば 6時15分なら ⇒És un quart de set.
直訳すると「7時の 4分の1」

8時35分なら⇒ Són dos quarts i cinc de nou
直訳すると「9時の 2 × (4分の1) +5」

どうですか?複雑過ぎませんか(笑)⁉
つくづく、カタルーニャ語話者の方たち、よく時間を間違えないなぁと思います。

カタルーニャ語 が話せないと生きづらいのか

日常生活において

日常生活を送る上では、カタルーニャ語が理解できなくてものすごく困ることはありません。

カタルーニャ語が母語の人は殆どがバイリンガルでスペイン語も操れます。
いかにもアジアな外見の人が、カタルーニャ語で話しかけられることはまずありません。

最初の頃、私が生活の上で一番混乱したのはスーパーマーケットや市場。
表記が、カタルーニャ語のみのところも多いからです。

これは食べものの名前をスペイン語でちゃんと覚えていればそう混乱しなかったかも。
基本的な食べ物以外はそんなに覚えてなかったので、表記が一体スペイン語なのかカタルーニャ語なのかすらも分からない(笑)

見て分かるものならいいけど(例えば水とか)、一番困ったのは魚の名前でした。
スペイン語でも覚えてなかったので、何がどの魚やら。

まあ、元々の呼名を覚えてなければ、同じことがスペイン語話者でも起こるみたいです。
この言葉、スペイン語だっけ、カタルーニャ語だっけ⁉と😂

そして、普段自分が料理に使う食べ物なら覚えますが、いまだに高級食材の単語はあまり知りません(笑)。
たまに高級レストランのアテンドをお願いされた時は「スペイン語ーカタルーニャ語」の翻訳アプリを持参してましたよw

語学学校・大学・大学院において

では、留学などの勉強の場面ではどうでしょうか?

まず、スペイン語を勉強しにカタルーニャ地方に語学学校に行く方は、もちろん学校の授業はスペイン語なので問題ないでしょう。
日常生活でカタルーニャ語は避けて通れないけど、それもおもしろいと楽しめる気持ちがあれば心配ないと思います。
カタルーニャ内でも地方ほどカタルーニャ色が強いですから、そこは頭に入れておく必要があると思います。

では、大学・大学院においてはどうでしょう。

私が経験し見聞きした範囲内で言うと…(比較文学の修士と美術史の学士・修士)

・友人の話によると、バルセロナ市内の大学(学部)の美術史学科はカタルーニャ語での授業が殆どだったそう。
・比較文学修士の授業は全てスペイン語でした。
・美術史修士は教授によりスペイン語あるいはカタルーニャ語。
・生徒の課題発表やプレゼンはもちろんカタルーニャ語でもスペイン語でも可。

辛かったのは、生徒のプレゼン。
ゼミなどで私も理解するべきことをカタルーニャ語でプレゼンされると全く分からず呆然。
カタルーニャ語でまとめたプレゼンの下書きがあれば、そのコピーを貰ったりしてました。

カタルーニャ語の授業を理解する自信は全くなかったので、美術史修士は入学志願書類を送る前に修士の大学秘書に相談しました。
その秘書さんが、各先生たちに授業での使用言語を聞いてリストを送ってくれました(感謝!)。
さらにはそのリストを大学院のHP(フェースブック)にも載せてくれました👏

ということで全てスペイン語での授業に登録したんですが…
一度美学の授業で、招待教授がカタルーニャ語で授業をしたことがありました。
通常授業一コマは3時間、悲しいほど分からないのに3時間座っているのは辛すぎる。
途中の休憩時にしょげなから帰宅しました(他にも数人帰っちゃった生徒はいましたね…)。

でもやはり母語で話す方が深い説明ができる、というのは確かですよね。
スペイン語で授業するね、と言ったものの、時々スペイン語の単語が出てこない先生もおられました。

またグループワークのプレゼンで、同じグループの同級生(メノルカ島出身)が私に気を使ってか(優しい...)スペイン語で発表してくれたんですが、多分私以上に緊張して時々かんでました。
彼女は、スペイン語よりむしろ英語かドイツ語の方が話せるそうです。

言語に関する新たな法案。今後どう変化するのか。

私が目にした教育現場での衝突

歴史的にカタルーニャの言語・文化を禁じられた時代があったことから、カタルーニャ語の使用に強いこだわりがある人も沢山います。

確かに言語や文化の尊重は大切なことですね。

ただ国際的な学術機関として世界中から生徒を募る大学であれば、先生達がある程度使用言語を考慮することは必要ではないかと思います。

授業での使用言語について、実は在学中にひと悶着ありました。
2017-2018とカタルーニャ独立問題が高まった時期があり、デモが頻発し大学の授業開講も不安定だった頃でした。

ある日、大学院のフェースブックページにこんな書き込みが。

「授業で使われる主な言語リストなんか何で必要なんだ??
カタルーニャの大学で勉強するんだからカタルーニャ語で勉強しろよ」と。

例の、秘書さんが大学院のHPに乗せてくれた各授業の言語リストのことですね。

それに肯定的に反応した大学側のコメントに対して、真っ向から反論した南米の同級生。
優等生タイプのチリ出身の彼女のコメントにはびっくりしましたが、賛同者が多数。
その投稿は即日削除されていました。

こんな感じで、教育現場では時々こうした衝突も目にしています。

2020年に制定された教育改正法La ”Ley Celaá"。
スペイン語はスペインの公用語ではなくなるのか。

2020年11月、驚きの教育法改正案が可決されました。
いわゆる La Celáá と呼ばれている教育法改正によって、なんとスペイン語が公用語であるという定義が削除されたのです。

以下、白石和幸氏の記事より抜粋。(記事内のカスティーリャ語とは私達がスペイン語と呼んでいるものです)

スペイン憲法3条において「カスティーリャ語はスペインの公用語であり、全てのスペイン人がそれを知る義務があり、それを使用する権利をもっている」と規定している。

また、2013年に施行された教育法でも「スペイン国家のカスティーリャ語が公用語であり意思疎通を図る全国共通の言語である」という定義がなされていた。

それが社会労働党とポデーモスの連立政府によってスペイン語が公用語であるという定義が削除されたのである。

これはカタルーニャのカタラン語を意識しての教育改正法である。もちろん、政府はカスティーリャ語(スペイン語)について、各自治州が指定する言語と同様にその教育を受ける権利があることを補償している。しかし、新教育法ではスペイン語を受ける「権利がある」としてはいるが、それを学ぶ「義務がある」とは規定されていないのである。しかも、公用語であるという定義も削除された。ということは、スペイン語は英語やフランス語と同様のレベルにおいても問題はないということになる。


スペイン語を学ぶ「義務」そして「公用語であるという定義」が削除されたことで、これから実際の教育現場はどう変わっていくんでしょうね…。

この改正案の可決後、書店で「私はカタルーニャ語で問い合わせたのにスペイン語で返答された」と怒りのクレームが寄せられた、との記事を読みました。
実際、長年カタルーニャに住んでいても、カタルーニャ語が全く分からないというスペイン語話者や、カタルーニャ語を理解はできても話せない、という人を沢山知っています。

こうした日常生活のストレスが積み重なって大きな衝突が起きませんように。
上手にバランスが取れたバイリンガル都市であってほしいものです。

 

カタルーニャ語 はどこで学べる?(無料のコース情報あり)

大学やカタルーニャ政府のコース

カタルーニャの大学内では言語の授業もあり、私も1学期だけカタルーニャ語のクラスを受講しました。
もちろん有料&大学の学生が対象ですが、学部生・院生(修士・博士)が一緒に勉強しますし、違う学部・学科の友達ができて楽しいです。

また、Center per la normatitzacio Lingüísticaというカタルーニャ政府が主催するコースもあります。
こちらは初心者(A1)〜上級者(C2)まで6レベルに分かれており、基礎のA2レベルまではテキスト代のみで無料です。
基礎レベルの中のベーシック3まで修了すると修了書(certificado) がもらえて、求人にカタルーニャ語の能力が求められた時の書類として提出することができます。
料金表のスクリーンショットを貼っておきますね。
1コース45時間で内容はかなりしっかりしているようです。

登録時期が決まっていて定員もあるので各センターに問い合わせるのがベストです。

【追記・修正】
バルセロナ市内のCenter per la normatitzacio Lingüísticaのリストはこちらです。
https://www.cpnl.cat/xarxa/cnlbarcelona/directori/

もしくは、最寄りのセンターを知りたければGoogle Map で CNL と検索してみてください。
(正式名称は Center per la normatitzacio Lingüística ですが、CNLで検索しないと出てこない学校が沢山あるようです)

またバルセロナでなくてもカタルーニャ内であれば CNL と検索すると最寄りのセンターが見つかると思いますので探してみてください!

2021年春の新規生徒募集についてはこちらのページ
https://www.cpnl.cat/xarxa/cnlbarcelona/cursos-de-catala/

レベルチェック 2/22-4/8
登録 優先登録 4/9-4/12
一般登録 4/13-4/16
クラス開始 4/28 とのことです。

カタルーニャ語のページですが、Center per la normatitzacio Lingüística のHPは下のボタンをクリックしてください。

Center per la normatitzacio Lingüística

日本でも カタルーニャ語 を習いたい!

私が日本(福岡)でスペイン語を習ってた先生は、カタルーニャのタラゴナ出身。
カタルーニャ語の授業もしています。
サッカーチーム、バルサの大ファンの人が熱心に勉強していたのを覚えています。

コロナ禍の状況を機会にオンラインでも教えているそうなので、ご興味がある方はコンタクトを取ってみてください。
先生は一時期NHKのスペイン語講座にも出演してましたよ😉
ご本人の承諾の上、連絡先を載せています。
Magi Mercade Martinez 先生。
magimercade@gmail.com
すごく面白くて楽しい先生です!
メッセージは日本語で書いても大丈夫です。

シリーズは終わっちゃったみたいだけど、スペイン語のYoutubeチャンネルもありますよ!
https://www.youtube.com/channel/UCFKK1k3LIljvAJ8ssND7vng/videos

カタルーニャ語教材紹介 (2021.3.25追記)

現地の学校で勉強するにしても、また日本で勉強するにしても、日本語の文法説明があるとさらに理解しやすいですね。
最後にいくつか教材を紹介します。
このうちAmazonが販売・発送するものは、もちろん送料はかかりますが通関手続き等が複雑じゃないので海外在住の方にもおすすめです。

⬇詳細は画像をクリックしてくださいね。⬇

1. 🍀2021年2月にカタルーニャ語文法を基礎から上級まで網羅した文法本の新刊が出ました。
最新の本で、上級まで扱っているので今一番お薦めしたい本です。
残念ながらAmazon販売・発送ではありません。

以下の二つはAmazonの販売・発送です。

さて、私はカタルーニャ語が母語の友達も沢山できたし、できればカタルーニャ語でも話せたらいいな、と思ってます。
スペイン語とも、カタルーニャ語とも上手にお付き合いして楽しく過ごしたいですね

それでは、また!Hasta pronto👋

実際に無料コース(基礎Bàsic 1)を受けた経験談・感想はこちら👇


◆耳からのインプットも大事。
カタルーニャ語のオーディオブックもあるAmazon Audibleはお薦めです。
無料お試し期間が長く、必ず一冊はオーディオブック&ボーナスタイトルがもらえるので試す価値あり!

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参照:
白石和幸、スペインで「スペイン語」が公用語でなくなった!? 日本人が知らない、スペイン語圏の2020年の話題を振り返る (HARBOR BUISINESS Online), 2021/1/1:https://hbol.jp/235680/2
Vera Guitiérrez Calvo, La ‘ley Celaá’ y el español en Cataluña: ¿cesión política o acuerdo inocuo?, EL PAIS, 2020/11/15 : https://elpais.com/espana/2020-11-14/la-ley-celaa-y-el-espanol-en-cataluna-cesion-politica-o-acuerdo-inocuo.html

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