街歩き

ガウディが絵画に…!ガウディが通った教会があるサン・フェリペ・ネリ広場〜 Plaza De San Felipe Neri〜スペインの重大な歴史を記録する静謐な広場

街の中心にあるカテドラル(大聖堂)前の広場には、その美しさからいつも人がたくさん。
観光客が少ないコロナ禍の今でも、沢山の人が音楽を聴きながら談笑しています。

さて、このカテドラルからほど近い中世の旧ユダヤ人地区に、とても静かな小さい広場があります。

ーいつかこの広場に面したピソ(アパート)に住みたいと思ってるんだ。

と友人が連れていってくれたのがこの Plaza de San Felipe Neriという広場。
賑やかな通りからこの広場に足を踏み入れると、不思議と声のトーンを落として静かに話したくなります。

この広場、スペインが生んだ偉大な芸術家、ガウディにゆかりのある場所。
そしてスペインの歴史の上でも重要な場所なのです。

ガウディはサン・フェリペ・ネリ広場 ( Plaza De San Felipe Neri) の教会に通い続けた

San Felipe Neli 広場にある San Felipe Neri教会は、建築家Pere Bertránによって1721年〜1752年にかけて建てられました。

非常に信心深かったガウディは、この教会のミサに通い続けていました。

1926年6月7日、ガウデイは日々通い続けていたこのSan Felipe Neri教会に向かっていました。
没頭していたサグラダ・ファミリアのことを考え、注意力が散漫になっていたのでしょうか。
ガウディはトラム(市電)に轢かれてしまうのです。
ガウディは、この事故が原因でその数日後に亡くなりました。

事故があった場所は、Gran Vía のCalle Girona と Calle Bailénの間あたり、Tetuan広場のすぐ近く。
土地勘がある方用に地図を貼っておきます。

ガウディがSan Felipe Neri のモデルとなり描かれた絵画


ガウディは写真嫌いだったため、彼の写真は殆ど残っていません。
ところが驚いたことに、このSan Felipe Neri 教会の礼拝堂には、ガウディをモデルにした絵画がなんと2点も所蔵されているそうです。

その絵は、著名な彫刻家ジョセップ・リモーナの兄弟であるジョアン・リモーナによるもの。
1902年、ガウディの非常に親しい友人であったジョアン・リモーナは、礼拝堂のために製作中だった絵画に現れるFelipe Neri のモデルになるよう、ガウディを説得しました。

その絵画の1つは、ローマのGianicoloで子供たちに教義を教えているFelipe Neriの絵。

Plaza De San Felipe Neri

2つ目の絵は、聖餐式(せいさんしき)でのFelipe Neriを表現しています。
(絵画の写真は新聞 La Vanguardiaから抜粋)

Felipe Neriは1515年イタリアのフィレンチェ(Florencia)生まれ。
小教区を創設し、そこに属した司祭たちはFeliponesと呼ばれました。
San Felipe Neri 教会はその組織の一部で、現在でもそのFeliponesのコミュニティは存在し、18世紀に建てられたこの教会の修道士施設に居住しています。

ガウディの顔は、ガウディが足しげく通ったこの教会と、そしてサグラダ・ファミリアの礼拝堂にのみ、絵画として残っているのです。

※San Felipe Neri 教会は一般公開していません。ミサ出席者のみが入場できます。

スペイン市民戦争の悲惨さを伝える歴史上重要な場所

この広場には様々な歴史があります。

実は、10世紀の初頭まで、この教会の左側は「背教者の牢獄」と呼ばれた場所で、罪人(泥棒、殺人者、魔女、反逆者や背信者)を絞首刑にして埋葬していたそう。

また、その昔靴・鍛冶職人の組合があった場所でもあります。
そのうち靴職人の組合はバルセロナ靴ミュージアム (Museo del Calzado de Barcelona)として、様々な時代の靴を展示していました。
(2015年に閉館)

そして近現代の歴史上で重要なのは、ここがスペイン市民戦争の悲惨さを想起させる場所だからなのです。
スペイン市民戦争(1936-1939)の最中の1938年1月30日、フランコ反政府部隊側を支援するイタリア軍ががこの広場を襲いました。

残酷なことに、当時の戦略はとにかく多くの命を奪うことでした。
フランコ軍は、無数の空爆の後いったん爆撃を休止。
そして、敵が去ったと思いこみ負傷者を助けるため避難場所から出てきた人たちを、再度空爆が襲ったのです。

その空爆で42人が亡くなりました。

その内20人は、教会に避難した隣接する幼稚園の児童たちでした。

その空爆の跡は、教会の建物の壁にそのまま残されています。

そして現在、教会の横には再度幼稚園が作られています。

広場では時に子どもたちが無邪気に走り回るのを目にし、その光景ははるか昔この場所で元気に遊んでいた子どもたちの姿を想像させます。

広場の中央には八角形の噴水があります。
この噴水には勉強する子供のブロンズ像があったのですが、なんと盗難に遭い、そのままだそうですよ。

サン・フェリペ・ネリ広場 ( Plaza De San Felipe Neri) への行き方

San Felipe Neri 広場へは、カテドラル前の広場から向かうと一番分かりやすいです。
カテドラルを正面に見て、右側の小道(Carrer del Bisbe)の坂を登り、1つ目の角を右(Carrer de Montjuïc del Bisbe)に曲がって道なりに行くとすぐ。
曲がるところは Plaça de Garriga i Bachsという広場の右側の角です。
下の写真はPlaça de Garriga i Bachs。


何も知らずこの広場に入った時から、不思議な感覚があったのですが、きっと色んな歴史を持った場所だったからでしょう。
5月〜6月には鮮やかな黄色いアカシアの花が広場を華やかに彩ります。(下のビデオは6月のもの)
バルセロナのカテドラルを訪れたら、是非San Felipe Neri広場も訪れてくださいね。

では、また!Hasta pronto👋

Nana

参考:
La Vanguardia 筆者:Xavi Casinos
[https://www.lavanguardia.com/local/barcelona/20170729/43135014961/rostro-gaudi-cuadros-sant-felip-neri.html#foto-1]
[https://judithtiral.com/sant-felip-neri/]
Jose Luis Caballero, David Escamilla, Los secretos de los calles de Barcelona, Ma Non Troppo, 2018

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